1級遮光カーテンとは?2級との違いやメリット・デメリットを解説

1級遮光カーテンとは、遮光率99.99%以上の性能を持つカーテンのことです。
日中の光をほとんど通さず、室内を真っ暗に近い状態に保つことができます。
この記事では、1級遮光カーテンの定義から、性能が近い2級との違い、設置することで得られるメリット・デメリットまでを詳しく解説します。
自分のライフスタイルや部屋の用途に合ったカーテン選びの参考にしてください。
そもそも遮光カーテンとは?光を遮る仕組みと等級について
遮光カーテンとは、特殊な加工によって光を遮る機能を高めたカーテンの総称です。
一般的なカーテンに比べて、外からの日差しや照明の光を効果的にブロックし、室内を暗く保つ役割を果たします。
その性能はJIS規格によって等級分けされており、遮光率に応じて1級から3級まで設定されています。
この等級を理解することで、部屋の用途や求める暗さに応じて最適なカーテンを選べます。
生地の構造や特殊加工で光をブロックする仕組み
遮光カーテンが光を遮る仕組みは、主に生地の構造にあります。
一つは、非常に高密度に織られた生地を使用する方法です。
糸と糸の隙間をなくすことで、光が通り抜けるのを防ぎます。
もう一つは、生地の裏面にアクリル樹脂などをコーティングしたり、遮光フィルムを貼り付けたりする加工です。
これにより物理的に光を遮断します。
さらに、生地を織り込む際に黒い糸を挟み込む「ブラックアウト加工」も一般的です。
これらの製法や加工の度合いによって、1級、2級、3級といった性能の違いが生まれます。
特に、3級遮光でも99.40%以上の光を遮る性能を持ちます。
JIS規格で定められている遮光性の等級基準
遮光カーテンの性能は、日本産業規格(JIS)の基準に基づいて等級分けされています。
最も遮光性が高い「1級遮光」は遮光率99.99%以上で、人の顔が識別できないほどの暗さになります。
続く「2級遮光」は遮光率99.80%以上99.99%未満で、人の顔や表情が識別できる程度の明るさが残ります。
「3級遮光」は遮光率99.40%以上99.80%未満とされ、人の表情はわかりますが、作業するには暗いレベルです。
このほか、遮光機能がない非遮光カーテンや、JIS規格外の等級として3級未満の準遮光カーテンも存在します。
「1級遮光」の定義とは?人の顔が識別できないほどの暗さ
1級遮光とは、JIS規格で定められた遮光等級の中で最も性能が高い基準を指します。
具体的には遮光率が99.99%以上と定義されており、カーテンを閉めると室内は日中でも夜のように暗くなります。
その暗さは「人の顔の表情が識別できないレベル」とされており、わずかな光も通したくない場合に最適です。
メーカーによっては、さらに性能の高い「完全遮光」という製品も販売されていますが、まずはこの1級遮光の基準を理解することが重要です。
遮光率99.99%以上が基準となる1級遮光の性能
1級遮光カーテンの最大の特長は、遮光率99.99%以上という極めて高い光の遮断性能です。
この性能により、日中の強い太陽光はもちろん、夜間の街灯やネオンの明かりもほとんど室内に通しません。
そのため、夜勤などで日中に睡眠を取る必要がある方や、朝日を気にせずゆっくりと眠りたい方の睡眠環境を強力にサポートします。
また、室内を暗く保てるため、プロジェクターを使ったホームシアターで映像に集中したい場合など、光に邪魔されずに過ごしたい様々なシーンでその効果を発揮します。
さらに遮光性が高い「完全遮光」との相違点
1級遮光よりもさらに遮光性が高いものとして「完全遮光」があります。
これは遮光率100%の製品を指しますが、JIS規格で定められた用語ではなく、メーカー各社が独自に設定している呼称です。
1級遮光が遮光率99.99%以上であるのに対し、完全遮光は文字通り一切の光を通しません。
この性能は、生地の裏面に特殊な樹脂コーティングを施すことで実現されています。
ただし、生地自体が光を通さなくても、カーテンと壁の隙間や裾、レール部分から光が漏れることは避けられません。
そのため、完全な暗室を目指す場合は、リターン縫製やカーテンボックスの設置といった工夫も必要になります。

1級遮光と2級遮光はどう違う?室内の明るさを比較
1級遮光と2級遮光の最も大きな違いは、カーテンを閉めた際の室内の明るさです。
遮光率の数値では、1級が99.99%以上、2級が99.80%以上とわずかな差に見えますが、実際に体感する明るさには明確な違いがあります。
この差は、プライバシー保護の性能や、家具などを日焼けから守るUV(紫外線)カットの効果にも影響します。
どちらを選ぶかは、どれくらいの暗さを求めるか、どのような生活を送りたいかによって決まります。
部屋の明るさや人の顔の見え方の違い
1級遮光と2級遮光の明るさの違いは、JISの基準で「人の顔の見え方」によって示されています。
1級遮光は「人の顔の表情が識別できないレベル」まで暗くなるのに対し、2級遮光は「人の顔や表情が識別できる」程度の明るさが残ります。
具体的には、朝日が昇ると2級遮光ではうっすらと室内が明るくなるのを感じられますが、1級遮光ではほとんど明るさの変化を感じません。
真っ暗な環境で眠りたい場合は1級、適度に朝の光を感じながら目覚めたい場合は2級が適していると言えます。
外からの視線を遮るプライバシー保護性能の差
プライバシー保護の観点では、1級遮光と2級遮光のどちらも高い性能を発揮します。
どちらのカーテンも生地の密度が高いため、夜間に室内の照明をつけても、外から人影が透けて見えることはほとんどありません。
そのため、人通りの多い道に面した窓や、隣の家との距離が近い窓でも安心して使用できます。
ただし、より完璧を期すのであれば、光を完全に遮断する1級遮光の方が、室内の様子を外部に一切漏らさないという点で、さらに高い安心感が得られます。
プライバシーを最優先に考えるなら1級遮光がより適した選択肢となります。
1級遮光カーテンを設置する4つのメリット
1級遮光カーテンを設置するメリットは、単に部屋が暗くなることだけではありません。
質の高い睡眠環境の確保から、冷暖房効率の向上による省エネ効果、さらには家具の日焼け防止や防音性の向上まで、生活の質を高める様々な利点があります。
ここでは、1級遮光カーテンがもたらす代表的な4つのメリットについて、具体的に解説していきます。
これらの効果を理解することで、より明確な目的を持ってカーテン選びができます。
日中の光を遮り睡眠の質を高める効果
1級遮光カーテンの最大のメリットは、日中の強い光や夜間の街灯などをほぼ完全に遮断し、時間帯を問わず質の高い睡眠環境を作り出せる点です。
光を浴びると脳が覚醒しやすくなりますが、1級遮光カーテンで室内を暗く保つことで、深い眠りを維持しやすくなります。
これは、夜勤や交代勤務で昼間に眠る必要がある人、赤ちゃんの昼寝、わずかな光でも目が覚めてしまう人にとって特に有効です。
外部の光に邪魔されず、静かで暗い環境を確保することで、心身ともにしっかりと休息をとることが可能になります。

冷暖房の効率を上げて電気代を節約
1級遮光カーテンは、厚手で高密度な生地で作られているため、高い断熱効果も期待できます。
夏場は窓からの強い日差しと熱気を遮断し、室温の上昇を抑えることで冷房の効きを良くします。
冬場は、外からの冷気の侵入を防ぎ、室内の暖かい空気が窓から逃げるのを防ぐため、暖房効率が向上します。
これにより、冷暖房の設定温度を過度に調整する必要がなくなり、年間の電気代を節約することにつながります。
遮光機能に加えて、省エネという経済的なメリットも得られます。
紫外線による家具やフローリングの色あせを防止
窓から差し込む紫外線は、知らず知らずのうちに家具やフローリング、本、畳などを日焼けさせ、色あせや劣化の原因となります。
1級遮光カーテンは光を強力に遮るため、有害な紫外線も大幅にカットする効果があります。
カーテンを閉めておくことで、大切なインテリアや床材を紫外線のダメージから守り、長期間にわたって美しい状態を保つことが可能です。
特に、日当たりの良い南向きや西向きの部屋、高価な木製家具や美術品を置いている場合には、この日焼け防止効果が大きなメリットとなります。
気になる生活音や騒音を和らげる防音性
1級遮光カーテンに使用される厚手で高密度な生地は、音を吸収・遮断する効果も持ち合わせています。
専門的な防音カーテンほどの高い性能はありませんが、ある程度の防音・遮音性が期待できます。
外を通る車の音や近隣の工事の音といった騒音の侵入を和らげ、より静かな室内環境を作る助けになります。
同時に、室内で発生するテレビの音や話し声、ペットの鳴き声などが外に漏れるのを軽減する効果もあります。
交通量の多い道路沿いの住居や、集合住宅での音の問題を少しでも緩和したい場合に役立ちます。
購入前に知っておきたい1級遮光カーテンの3つのデメリット
1級遮光カーテンは多くのメリットを持つ一方で、高い性能ゆえのデメリットも存在します。
購入してから「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、事前に注意点を把握しておくことが重要です。
ここでは、朝日が入らないことによる体内リズムへの影響や、日中の部屋の暗さ、そして生地の厚みからくる圧迫感など、購入前に知っておきたい3つのデメリットについて解説します。
自分のライフスタイルに合うかどうかを慎重に検討しましょう。
朝日が差し込まず体内リズムが乱れる可能性
1級遮光カーテンの強力な遮光性は、朝になっても太陽の光が部屋に差し込まないことを意味します。
人間は朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、自然に目覚めるようにできていますが、このサイクルが機能しにくくなります。
その結果、アラームが鳴るまで完全に暗い状態が続き、寝坊しやすくなったり、朝すっきりと起きられなくなったりする可能性があります。
特に、朝の光で自然に目覚めたい人にとっては、この点が生活リズムを乱す原因となることも考えられるため、注意が必要です。
日中でも部屋が暗くなり照明が必要になる
1級遮光カーテンを閉め切った状態では、晴れた日中でも室内は夜のように暗くなります。
そのため、日中に部屋で読書をしたり、作業をしたりする際には、常に照明を点灯させる必要があります。
自然光の明るさの中で過ごしたい人にとっては、閉塞感を感じたり、不便に思えたりする場合があります。
また、日中の照明使用時間が増えることで、節電効果のメリットが相殺されてしまう可能性も考慮しておくべきです。
部屋の用途や過ごし方によっては、この暗さがデメリットとして大きく感じられることもあります。
生地が厚手で重いため圧迫感を感じることも
高い遮光性を実現するために、1級遮光カーテンは厚手で重量のある生地が使われることが一般的です。
この厚みと重厚感が、部屋に圧迫感を与えてしまうことがあります。
特に、面積の小さい部屋や、ダーク系の色を選ぶと、空間が実際よりも狭く感じられる原因になりかねません。
また、生地が重いため、カーテンを開閉する際に力が必要だったり、洗濯の際の取り扱いが大変だったりする点も挙げられます。
カーテンレールの耐荷重を確認することも含め、設置後の使い勝手や部屋全体の印象を考慮する必要があります。
あなたの部屋に最適?1級遮光カーテンがおすすめなケース
これまでのメリット・デメリットを踏まえ、1級遮光カーテンがどのような部屋やライフスタイルに適しているのかを具体的に考えてみましょう。
その高い遮光性能は、特定の目的を持つ部屋で最大限に活かされます。
例えば、安眠を追求したい寝室や、映像に集中したいリビングなどが挙げられます。
ここでは、1級遮光カーテンの導入が特におすすめされるケースを紹介し、生活スタイルに合わせた最適なカーテン選びのヒントを提案します。

ぐっすり眠りたい寝室や西日が強い部屋
1級遮光カーテンの設置に最も適している場所は寝室です。
夜間の街灯や車のヘッドライト、早朝の朝日などを完全にシャットアウトできるため、光に敏感で眠りが浅い人でも、朝までぐっすりと眠ることができます。
また、夏の午後に強い日差しが照りつける西向きの部屋にも最適です。
西日による室温の急上昇を抑え、冷房効率を高めるだけでなく、眩しさを軽減して快適な空間を保てます。
睡眠の質を向上させたい場合や、特定の時間帯の日差しに悩まされている場合には、1級遮光カーテンが大きな効果を発揮します。
日中にプロジェクターで映像を楽しみたいリビング
リビングをホームシアターとして活用し、映画やスポーツ観戦を楽しみたい場合にも、1級遮光カーテンは非常に有効です。
日中の明るい時間帯であっても、カーテンを閉めるだけで部屋を手軽に暗室のような状態にできるため、プロジェクターの映像が白飛びすることなく、鮮明で美しいコントラストで映し出されます。
外光の反射や映り込みを気にせずに映像コンテンツに没頭できる環境が整います。
普段はカーテンを開けて明るいリビングとして使い、必要な時だけ遮光するという、多目的な使い方にも対応可能です。
生活スタイルに合わせたカーテンの選び方
最終的にどの遮光等級のカーテンを選ぶべきかは、個々の生活スタイルによって異なります。
例えば、夜勤が中心で日中に質の高い睡眠を確保したいのであれば、1級遮光が最適な選択です。
一方で、朝日で自然に目覚めたい、日中は部屋に自然光を取り入れたいという場合は、2級や3級遮光、あるいは非遮光のカーテンの方が生活リズムに合っているかもしれません。
部屋の主な用途、睡眠の好み、日中の過ごし方などを総合的に考慮し、遮光性能だけでなくデザインや他の機能性(断熱、防音など)も踏まえて、自分にとって最もバランスの取れたカーテンを選ぶことが大切です。
まとめ
1級遮光カーテンは、遮光率99.99%以上というJIS規格で定められた最も高い基準を満たすカーテンです。
日中の光もほぼ完全に遮断し、室内を真っ暗に保つことができます。
この性能により、睡眠の質向上、冷暖房効率アップによる省エネ、家具の日焼け防止といった多くのメリットが得られます。
一方で、朝日が入らず体内リズムが乱れる可能性や、日中でも部屋が暗くなるというデメリットも存在します。
2級遮光との明るさの違いを理解し、寝室や西日の強い部屋など、用途とライフスタイルに合わせて最適なものを選ぶことが求められます。
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